idea factory from newspaper 2003 12 2
「道なお遠く distant goal」
日経平均株価に対する、地方銀行の国有化による影響は、少なかったので、
安心したという人が多かったでしょう。
しかし、安心するのは、まだ早いのです。
なぜなら、銀行は、今となっては、
時代に取り残された「古い業界」になってしまった事実は、変わりないのです。
古くなってしまった銀行業界を、
いかに、現代という時代に適合させるか。
まだまだ、改革への道は、なお遠い。
今は昔、私は大学時代に、多くの友人と共に、
法的規制によって守られた業界を、規制緩和し、
競争原理を取り入れて、
自由な市場にすることによって、業界を発展させるには、どうするか。
そういう研究をしていました。
要するに、社会主義国日本を、資本主義国日本に転換させることを研究していたのでした。
規制と官僚制度は、社会主義国を象徴しています。
この研究は、法律学と経済学が融合した分野でした。
研究の対象となった業界は、銀行業界、建設業界、電力業界、通信業界、テレビ業界です。
こういう業界は、規制によって守られていて、古い業界になりつつあったのです。
私たちのグループでは、こういうテーマを、よく研究した結果、
このような業界に就職する人は、誰もいませんでした。
先が見えていましたので、就職先としては、ふさわしくないと判断したようです。
なかなか、日本の伝統芸能である「先送り」で、規制緩和が進みませんが、
今となっては、この話は、古き良き学友と語る「昔話」となりました。
大学で学ぶ若者へ。
すでに完成した学問を暗記して、いい点数を取っても、
それは、学問とは言わない。
高校の延長に過ぎない。
試行錯誤するかもしれないが、
自分で、自分の力で、自分の道を探すべきである。
試行錯誤も失敗も、若者の特権である。
若者が、いくら試行錯誤しても、いくら失敗しても、
誰も、若者を非難しない。
だからこそ、試行錯誤も失敗も、若者の特権である。
若者は、失敗を恐れる老人のような生き方をしてはいけない。
さて、文科系の学生の、就職希望ランキングを見ると、
ランキングの上位に出てくる企業については、
投資家として、あまり、株を買いたくない企業ばかりです。
今の若者には、開拓者精神はないのでしょうか。
今は、世界的に有名な大企業も、数十年前は、町工場でした。
今、私が大学生ならば、新興市場の企業を、就職先として、探します。
ある時、企業の役員名簿を見ていて、
石炭産業の役員に、超一流大学の出身者が多いのに気づいて、
学友は、なぜですかと、教授に質問していました。
教授は、「あの当時は、石炭産業は、時代の花形産業だったのだ」と答えました。